facebookのグループ内で、大阪の精神科医の方が投稿をしてくださいました。
今回の原発事故を危惧し、友人達に以下の投稿をメールを送っていらっしゃるそうです。
以下転載です。
**************************************************文科省が教育関係者に向けて「放射能を正しく理解するために」という文書を
4月20日に発表しています。
精神科領域に関係することが書いてあるとのことでしたので、
目を通してみたのですが、なんてことだと頭を抱えてしまいました。
http://www.mext.go.jp/component/a_menu/other/detail/__icsFiles/afieldfile/2011/04/21/1305089_2.pdf
前半は、あの「年間20mSVまでは安全」というとんでもない基準について
述べられていて、これだけでもかなり不愉快なのですが、我々精神科医に
直接関係してくるのは後半です。12ページの一番下に
「放射線の影響そのものよりも、『放射能を受けた』という不安を抱き続ける
心理的ストレスのほうが大きいと言われています」と書き、
13ページ以降にその説明として、心理的な強いストレスの受けたときの子供
の反応を解説し、「PTSD」について述べ、「放射能のことを必要以上に
心配しすぎてしまうとかえって心身の不調を起こします」と結論付けて、
「からだと心を守るために正しい知識で不安を解消!」と結んでいます。
PTSD(心的外傷後ストレス障害)は過去の心的外傷が原因で発症しますから、
現在進行形の事態に対してPTSDを持ち出すことはそもそもおかしな話です。
また、あたかも「放射能を心配しすぎて」PTSDになるかのような説明は
間違っています。「心配しすぎて」PTSDになったりすることはありません。
PTSDはレイプ、虐待、戦争体験、交通事故などなど、生命が危険にさらされる
現実の出来事の後に生じる疾患です。
今、原発被害に関してPTSDを論じるのであれば、PTSDの予防ですから、
「安全な場所に避難すること」と「事実を伝えること」が必要です。
ところが文科省のこの文書は「年間20mSVでも安全という間違った情報」を与え、
「避難の必要はない」と言っていますから、PTSDの予防としても間違っています。
そもそも放射線の被曝による生命の危機を認めていません。
あまりのお粗末さにあきれてしまい、開いた口がふさがりません。
福島原発の事故の責任は国にあります。
この文章は加害者である国が、被害者の口を封じ、あたかも被害の責任が
被害者側にあるかのような論述を組み立てています。
これは、レイプでも幼児虐待でも加害者側がよくやるやり方です。
このやり方を繰り返されているうちに、被害者は被害を受けたという事実が
見えなくなり、自分を責め、PTSDであることすらわからなくなってしまいます。
PTSDという疾患概念は、被害者が自分の症状と過去の出来事との関連に
気づくためのものです。
それを被害者の口封じのために利用していることに腹立ちを感じます。
こんな内容の文書を信じる人はいないだろうと思っていたのですが、
先週末に福島出身の作業療法士さんと話をしたら、
「そんなことありませんよ。信じてしまいます。肩書のある偉い先生や、
政府の人が言ったら、一般の人はそうかなって信じてしまいますよ。
福島は混乱しています」と言っていました。事態は切迫していて、
黙っていたら加害者側に立つのと同じになってしまいます。
時間も気力も限られていますので、まずは伝わりそうな人に伝えています。
この文書の作成に協力している小児心身医学会とメールのやり取りをしている
のですが、なかなか動こうとしません。
トラウマティックストレス学会には原発事故の際の心のケアについてちゃんとした文章が載っていました。
http://www.jstss.org/pdf/konishi0324.pdf
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専門家の方のご意見、とても貴重だと思います。
「黙っていたら加害者側に立つのと同じになってしまう」・・・私もそう思うのです。一般市民の私に出来ることってすごく小さくて、微力であることに悲しくなったり情けなく感じたり。。
それでも、このまま何もしないことが、黙っているということが、日本の子供たちを見殺しにしているような気になるのです。
一人一人が声をあげたら、もしかしたら何か変わるかもしれない。
もちろん原発が一刻も早く収束してくれたらそれに勝ることはないのです。
しかし、そんな目処はついていないし、流暢に待っているだけでは取り返しのつかないことになってしまう。。
そんな焦りをずっと抱いています。
一つ、リンク先の紹介です。
マイミクのセラピスト妙子さんがご自身のブログ内で「さよなら原発」というテーマで記事を書いていらっしゃいます。
早い段階から、政府の発表を信じて良いのか・・・?危機感を持って、警告してくれていました。
原発問題って何が本当で正しくてっていう判断がすごく難しくて、地震や津波の被害に遭われた方々もいらっしゃるので、中々声に出しづらいセンシティブな話題だなと思っていました。
私はもう一つブログを持っているのですが、そっちでは書けなかった。。。
なので、彼女の勇気って素晴らしいなと強く思いました。
講演会情報や参考になる動画等もあります。是非ご覧ください☆
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