今回の原発事故と放射性物質について。
周囲の人達に説明するのって難しいですよね。。
この3ヶ月弱の状況と放射性物質について、本多ゆかさんが分かりやすくまとめてくださいました。
やっぱり放射性物質って安全じゃないんじゃない?とマスコミの論調は変わってきています。
そして、原発の状況もだんだん解明されてきました。(と言ってもまだ何も良い方には進んでいません・・・)
それでも・・・生活していると正常性バイアスが働くのか、やはり世の中は依然として普通のように見えて、逆に焦りを感じます。。
知らないことは怖いこと。
以下、周囲の人達に知ってもらう際に活用してみようと思います。
以下転載。
https://sites.google.com/site/livingwithfukushima/literature/critics/honda
マクロビオティック・クラブ サンタクララ ニュースレターNO.16 (2011年6月1日)に「福島第一原発事故と放射能汚染」のタイトルで掲載
3月11日の東北地方太平洋沖地震によって福島県双葉郡にある東京電力福島第一原子力発電所の1~3号機の原子炉が緊急停止、地震と津波によって発電所の電力が失われました。
原子力発電所は、ウランまたはウランとプルトニウムを混ぜたもの(3号機で使われていたMOX燃料)を使った核燃料からの熱で水を沸騰させ、水蒸気の力で蒸気タービンを回し電力を作り出します。火力発電所は、石炭や石油、天然ガスを燃やした熱で水蒸気を作り、発電します。どちらも原理は同じです。
ウランは天然に存在する放射能を持つ鉱物です。不安定なウラン原子は、安定しようと核分裂し、熱を発しながら別の元素(核分裂生成物)を作り出します。原子力発電は、ウランが連続して核分裂を起こす時に発せられる大量の熱を利用しています。
原子炉では、核分裂のスピードと発熱量をコントロールするために、水を循環させて核燃料を冷やします。福島第一原発では、停電で冷却水を循環させるポンプが動かなくなったため、核燃料を冷やせなくなりました。連鎖的に核分裂が起こり炉内は高温となり、水は蒸発し、核燃料が溶け、水蒸気が原子炉の圧力を上げ、漏れ出した放射能や水素が建物内に充満しました。そして、3月12日に1号機、14日に3号機の建物が爆発を起こし、15日には4号機も爆発か火災で建物が大破しました。
原子力発電所は、火を燃やさないためCO2が発生しないことから、クリーンエネルギーと呼ぶ人もいます。しかし、ウランが核分裂する時に、放射能を持ったプルトニウム、ヨウ素、セシウム、ストロンチウムなどの核分裂生成物ができます。これらの放射性物質は、通常運転でも環境中に漏れ出ていますし、事故が起これば大量に撒き散ります。放射能は生物に有害なので、原発をクリーンと呼ぶのは間違っています。
福島第一原発では、原子炉建屋の中に、核燃料が入っている圧力容器とそれを覆う格納容器と、使用済み核燃料を入れるプールがあります。地震発生時に稼動中だった1~3号機の圧力容器と格納容器は損傷しており、1号機と3号機は爆発で建屋屋根が、2号機も壁の一部が壊れているので、プルトニウムやセシウムなどの放射性物質が漏れています。また、1~4号機の使用済み核燃料プールには核燃料棒が入っており、プールには放射能汚染水が溜まっています。
原子炉を冷やすために放水した大量の水が放射能で汚染され、建物内に溜まって作業の妨げになっているため、一部が海に流されました。格納容器の気圧が上がりすぎると原子炉が爆発するので、気圧を下げるために放射性物質を含んだ空気が排気されました。こうした海中や大気中への放射性物質の排出は、これからも行われるでしょう。
今回の事故では、本来なら原子炉建屋の外に大量に出てくることのない放射性物質が大気中に出てしまい、今も出続けています。
11日の地震発生から4月上旬までに出た放射性物質は、63京ベクレル(安全委員会試算)と言われており、特に3月15日に各地で異常に高い数値が計測されました。この日、福島原発から北西方向の福島市や飯館村などの市町村は風下に当たったため、20キロ圏より遠いにも関わらず、放射性物質が大量に降りました。2ヶ月以上経った現在でも、この地域の放射能測定値は、県内他の地区より突出して高くなっています。
放射能とは、放射線を出す能力のことです。核燃料の原料であるウラン、ウランが崩壊してできるプルトニウム、ヨウ素、セシウム、ストロンチウムなども放射能を持っています。福島第一原発から飛び散った放射性物質からは、ガンマ線、アルファ線、ベータ線、中性子線という放射線が出ています。放射線を短期間に大量に浴びると死に至る急性障害が起こりますが、今回の事故で急性障害になる危険性があるのは、福島第一原発で作業に当たっている作業員の方々です。一般の市民には、その危険性は少ないです。
放射線が細胞に当たると、細胞内の活性酸素を増やします。放射線が直接DNAを傷つける場合もありますが、増えすぎた活性酸素がDNAやミトコンドリアなど細胞内を傷つける影響の方が大きいようです。生物にはDNAが傷ついてもそれを修復する能力があります。しかし修復できない場合には、DNAが壊れたまま分裂し、その細胞は老化または癌化するか、死んでしまいます。細胞内でエネルギーを作り出したり、有害細胞を排出する役割を果たすミトコンドリアが減れば、体は疲れやすくなるし、免疫力も下がります。
放射線量が多ければ、1つの細胞に何度も当たりますし、当たる細胞も増えます。そうなると、いくらDNAを修復したり、老化・癌化した細胞を減らしても、異常な細胞が増えるスピードが体の回復力より早くなり、体全体に異常細胞が増えていきます。これが放射線が細胞レベルで体に影響を与える仕組みです。特に細胞分裂を繰り返しながら成長している子供たちは、異常細胞の広がるスピードが早いため、放射線を受けた影響が早く体に現れます。
体が受ける放射線量を測る単位がシーベルトで、年間何ミリシーベルト、毎時間何マイクロシーベルトと単位時間当たりで表されます。環境中の放射性物質の量が増えれば、数値も増えます。放射線に晒される時間が長ければ、数値が足されてシーベルト数が増えていきます。放射線源からの距離が遠ければ数値が下がり、近くなると増えます。
実は私達は普段の生活でも、自然に放射線を浴びています。宇宙や大地からの放射線に加え、自然に存在する大気中のラドンや体内のカリウム、核実験で撒き散らされたセシウムなどの放射性物質からも放射線が出ています。その総量は、大地からの線量が違うので場所によって開きがありますが、福島第一原発から放射性物質が飛び散る前の日本の平均は、およそ年間1ミリシーベルトでした。
ところが、今回の原発事故で放射性物質が降ったため、特に関東東北地方で環境中の放射線量が増えました。原発から飛んできた放射性物質は、花粉と同じように振舞います。風に飛ばされ、初めは大気中に漂っていますが、だんだんと降下してきて体や建物、地面に付着します。雨が降ると、雨粒と一緒にまとめてたくさん落ちてきます。大気中の放射線量を測っている東京都のモニタリングポストの数値を見ると、今年の5月末では2008年度の約2倍になっています。爆発があった3月12日~16日や雨が降った3月22日には、どの地域でも測定値が非常に高くなっています。
自然放射線や医療で放射線を浴びる場合、その放射線を出している放射性物質と実際に触れることは滅多にありません。しかし、原発から飛んできた放射性物質は、そこらじゅうに降り積もっているので、直接体に触れてしまいます。雨に濡れれば体に付着します。息を吸えば肺に入ってきます。野菜に落ちれば食べてしまいます。風に吹かれたり雨水に流されて低いところや隅の方に集まります。
土ぼこりと一緒に地面から舞い上がって、また移動して行きます。
放射性物質は目に見えないほど小さく色も匂いもないので、大量に落ちていることや、空気中に漂っていることを、実感できません。
福島第一原発から3月中に飛び散った60京ベクレルという放射性物質を、チョークの粉だと想像してみましょう。普通に黒板を使っている時には、白い粉が多少散っても気になりません。しかし、粉がたくさんついた黒板けしで黒板をはたくと、たくさんのチョークの粉が飛びます。手や洋服につくと白く汚れるし、吸い込めば咳き込みます。床にも積もるし、その上を歩けば上履きの底に付いて教室の他の場所に白い足跡を残します。濡れ雑巾で拭けばすぐにきれいになります。でも、拭かないとそのうち薄れてきます。黒板の下はきれいになったように見えますが、実は教室全体が広く薄く汚れただけです。
その教室に赤ん坊が来てハイハイをしたら、手足や服にチョークが付きます。その手を洗わないで舐めたら、体に入ります。子供たちが黒板の下で跳ねたら、粉がまた舞い上がります。背の高い大人には気にならなくても、、背の低い子どもは吸い込んでしまいます。
体に入った放射性物質から放射線を浴びることを内部被曝と呼びます。チョークの粉と違って、放射性物質が体の中に入ると、その近くの細胞が激しく大量に傷つきます。内部被曝の影響は、放射線を浴びるだけの外部被曝よりも、とても大きいのです。中でも、体からすぐに出て行かない放射性物質は厄介です。放射性ヨウ素は甲状腺に集まります。放射性ストロンチウムは骨に取り込まれます。放射性セシウムは全身に行き渡ります。
たとえば、放射性ヨウ素の場合、甲状腺に留まっている間に、甲状腺の細胞を傷つけるので、甲状腺炎や甲状腺機能低下などの症状が現れ始めます。傷ついた細胞を回復する力が弱かったり、細胞分裂のスピードが早いと、数年後に、癌化した細胞が成長して甲状腺癌を発病したり、機能低下状態が続いて橋本病を発症したりする人も出てきます。
ヨウ素以外の放射性物質も、同じような仕組みで、白血病やその他の癌を引き起こします。また、特定の病気を発症しないけれども、元気がなく体調を崩しやすい状態が続く場合もあります。
チェルノブイリ・エイズやブラブラ病と呼ばれる症状です。
一方で、同じ線量の放射線を浴びても、病気や癌にならない人もいます。
放射線の影響を説明するのに「xxミリシーベルトでは○○人に1人癌になります」という言い方をしますが、これは被曝量が増えれば癌死亡が増えるという事実を元に、広島・長崎のデータから計算した数字で、計算する団体によって数値が異なります。
この確率で被曝の健康への影響を説明するのには、2つ問題があります。1つは、まるで癌以外の健康問題が起こらないように錯覚してしまうことです。もう1つは、大抵の人は、自分は癌になるxx人の中の1人だとは考えないことです。現実には年齢や性別、体型、遺伝、居住地、生活習慣などで癌になるリスクが高い人たちも、確率が低いから大丈夫と思い込んで、リスクを減らす努力をしなくなります。
結局、放射線による健康被害を防ぐには、放射線をできるだけ浴びず、細胞修復力つまり免疫を強くするのが最善となります。いくつかの方法をご紹介します。放射線量が少ない場所を選ぶ。雨に濡れないようにする。放射性物質を吸い込んだり、食べたり、飲んだりしないように気をつける。放射線を浴びない時間を作り細胞の回復を促す。免疫力を高める食事を食べる。ストレスを減らす。化学物質の摂取を控える。十分な睡眠をとる。などが考えられます。
===転載終了===
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http://www47.atwiki.jp/matowiki/pages/28.html
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